要件事実データベース

本ブロックが抗弁となるブロック

過失の評価根拠事実

ダイアグラム

要件過失の評価を基礎づける事実

参考文献:司法研修所編「新問題研究要件事実」140頁

ブロック:「過失の評価根拠事実」について

規範的要件の要件事実
「『過失』のような規範的評価に関する抽象的概念が法律要件となっている規範的要件については、何を主要事実とみるかが問題となります。この点については『過失』などの規範的評価それ自体を主要事実とし、それを根拠づける具体的事実を間接事実とする考え方(間接時事実説)もありますが、このような規範的評価自体は、具体的事実が当該規範的要件に当てはまるという法的判断であって主要事実ではなく、これを根拠付ける具体的事実(評価根拠事実)が主要事実であるとする考え方(主要事実説)が一般的であると考えられます。」(司法研修所編「新問題研究要件事実」141頁)

要件:「過失の評価を基礎づける事実」について

即時取得における無過失の意義
「即時取得における無過失とは、動産の占有を始めた者において、取引の相手方がその動産の権利者であると信ずるにつき過失がなかったことをいうとされています」(司法研修所編「新問題研究要件事実」142頁)
「 民法一九二条にいわゆる「善意ニシテ且過失ナキトキ」 とは、動産の占有を始めた者において、取引の相手方がその動産につき無権利者で ないと誤信し、且つかく信ずるにつき過失のなかつたことを意味する」((最三小判昭和26年11月27日民集5巻13号775頁:裁判所裁判例検索
「 右法条にいう「過失なきとき」とは、物の譲渡人である占有者が権利者たる外観を有しているため、その譲受人が譲渡人にこの外観に対応する権利があるものと誤信し、かつこのように信ずるについて過失のないことを意味するものである」((最一小判昭和41年6月9日民集20巻5号1011頁:裁判所裁判例検索))
「この場合の過失の基準時は、Xの占有取得時です。したがって、それ以後の事実を主張することは意味がありません。」(司法研修所編「新問題研究要件事実」142頁)
「過失の有無は、前主の処分権限について取得者に疑念が生じる事由があったかどうか(不審事由の存在)、その疑念があるときは、その疑念を解明すべくどのような措置を講ずべきであったかどうか(調査確認義務の存在と内容)、取得者がその措置を講じたかどうか(調査確認義務の懈怠)にかかります。その際には、取引の実情ないし慣行、商慣習、従来の当事者間の諸関係などが総合的に考慮されなければなりません。」(司法研修所編「新問題研究要件事実」142頁)