要件事実データベース

登記保持権原(抵当権)

ダイアグラム

要件被担保債権の発生原因事実
要件抵当権設定者が抵当権者との間で、被担保債権を担保するためその不動産につき抵当権設定契約を締結したこと
要件抵当権設定者が抵当権設定契約当時、本件不動産を所有していたこと
要件本件登記が抵当権設定契約に基づくこと

参考文献:司法研修所編「新問題研究要件事実」114頁

ブロック:「登記保持権原(抵当権)」について

登記保持権原の抗弁
所有権に基づく妨害排除請求権としての抵当権設定登記抹消登記請求に対して、当該抵当権設定登記が正当な権原に基づくものであるという主張は、当該請求の請求原因と両立し、かつ、請求原因の効果である所有権に基づく妨害排除請求権の発生を妨げる働きをするため、抗弁として機能することになる。このような抗弁を「登記保持権原の抗弁」と呼ぶ。(司法研修所編「新問題研究要件事実」114頁)
登記保持権原の抗弁の要件事実
登記保持権原が認められるための要件としては、その登記が有効であることが必要である。登記が有効となるためには、登記の実体的有効要件(登記に符号する実体関係があること)および登記の手続的有効要件(登記が手続的に適法にされたこと)が必要である。(司法研修所編「新問題研究要件事実」114頁)

要件:「被担保債権の発生原因事実」について

登記の実体的有効要件
登記の実体的有効要件として、抵当権が成立したことを主張する必要がある。抵当権は、被担保債権が存在しなければ成立しない(成立の附従性)ため、被担保債権の発生原因事実として、登記に表示された実体関係と一致する実体関係を主張・立証する必要がある。(司法研修所編「新問題研究要件事実」114頁)

要件:「抵当権設定者が抵当権者との間で、被担保債権を担保するためその不動産につき抵当権設定契約を締結したこと」について

登記の実体的有効要件
登記の実体的有効要件として、抵当権が成立したことを主張する必要がある。抵当権は抵当権設定契約の締結によって成立するから、抵当権設定契約の締結の事実を主張・立証する必要がある。(司法研修所編「新問題研究要件事実」115頁)

要件:「抵当権設定者が抵当権設定契約当時、本件不動産を所有していたこと」について

登記の実体的有効要件
登記の実体的有効要件として、抵当権が成立したことを主張する必要がある。抵当権は抵当権設定契約の締結により成立するが、抵当権設定契約は抵当権の発生を目的とするいわゆる物権契約であると解されているため、抵当権設定契約締結時点において、抵当権設定者が本件不動産を所有していたことが必要である。したがって、抵当権設定者が抵当権設定契約当時、本件不動産を所有していたこと、を主張・立証する必要がある。(司法研修所編「新問題研究要件事実」115頁)

要件:「本件登記が抵当権設定契約に基づくこと」について

登記の手続的有効要件
登記の手続的有効要件として、その登記が手続的に適法にされたことを表すため「本件登記が抵当権設定契約に基づくこと」を主張・立証する必要がある。(司法研修所編「新問題研究要件事実」115頁)