要件事実データベース

占有開始時の悪意(短期取得時効)

ダイアグラム

要件占有者が、占有開始時点において、自己の所有に属すると信じていなかったこと(短期取得時効)

関連条文: 民法第186条第1項

民法 第186条 (占有の態様等に関する推定)

占有者は、所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ、公然と占有をするものと推定する。

2 前後の両時点において占有をした証拠があるときは、占有は、その間継続したものと推定する。

ブロック:「占有開始時の悪意(短期取得時効)」について

暫定真実
民法186条1項は『占有者は、所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ、公然と占有をするものと推定する。』と規定している。したがって占有の事実が主張・立証されれば、民法162条1項の要件のうち「所有の意思」および「平穏、かつ、公然」、ならびに民法162条2項の要件のうち「善意」に該当する事実を積極的に主張・立証する必要はないことになり、所有の意思の不存在(他主占有権原)所有の意思の不存在(他主占有事情)平穏な占有ではないこと公然の占有ではないこと占有開始時の悪意が権利発生の障害要件として抗弁となる。(司法研修所編「新問題研究要件事実」100頁)

要件:「占有者が、占有開始時点において、自己の所有に属すると信じていなかったこと(短期取得時効)」について

裁判例
「 民法一六二条二項にいう占有者の善意・無過失とは、自己に所有権があるものと信じ、かつ、そのように信じるにつき過失がないことをいい、占有の目的物件に対し抵当権が設定されていること、さらには、その設定登記も経由されていることを知り、または、不注意により知らなかつたような場合でも、ここにいう善意・無過失の占有というを妨げないものと解すべきである。」((最三小判昭和43年12月24日民集22巻13号3366頁:裁判所裁判例検索