要件事実データベース

要件債務者(又は第三者)が債権者に対し給付をしたこと
要件上記の給付がその債務の履行としてされたこと

参考文献:「新問題研究要件事実」49頁、「改訂紛争類型別の要件事実」9頁、岡口基一「要件事実マニュアル総論民法2第5版」668頁

関連条文: 民法第473条

民法 第473条 (弁済)

債務者が債権者に対して債務の弁済をしたときは、その債権は、消滅する。

ブロック:「弁済」について

要件:「債務者(又は第三者)が債権者に対し給付をしたこと」について

要件:「上記の給付がその債務の履行としてされたこと」について

給付と債権の関連性
「弁済の抗弁については、弁済の事実を主張する者に立証の責任があり、その責任は、一定の給付がなされたこと及びその給付が当該債務の履行としてなされたことを立証して初めてつくされたものというべきであるから、裁判所は、一定の給付のなされた事実が認められても、それが当該債務の履行としてなされた事実の証明されない限り、弁済の点につき立証がないとして右抗弁を排斥することができるのであつて、右給付が法律上いかなる性質を有するかを確定することを要しないものと解するを相当とする」(最二小判昭和30年7月15日民集9巻9号1058頁:裁判所裁判例検索
給付と債権の関連性の分析的検討
給付と債権の関連性について争いがある場合は、以下のように、具体的に主張する必要がある。
(ⅰ)弁済以外の原因で給付する意思を表示しなかったこと(=弁済として給付したこと)
(ⅱ)A:同一債権者に対する別口債務の不存在
  又はB:同一債権者に対する別口債務があるが、別口債務ではなく当該債務に充当されたこと(充当の合意、充当指定(民法第488条)又は法定充当(民法第489条))
(参照:岡口基一「要件事実マニュアル総論民法2第5版」670頁)
上記(ⅱ)について、要件事実とするか再抗弁とするか争いがある。別口債務の存在を参照。